ピーリングとは?
ピーリングとは、薬剤やマシンを使って、皮膚表面の余分な角質を除去し、肌のターンオーバーを促す施術です。
肌のターンオーバーは本来約28日周期になっています。しかし、年齢やホルモンバランス、ストレス、紫外線などの要因でこのターンオーバーが乱れてしまうと、肌表面に古い角質が溜まってしまい、ニキビや小じわ、黒ずみなどのさまざまな肌トラブルが起きてしまいます。
ピーリングにより皮膚表面の余分な角質を除去し肌のターンオーバーを促すことで、肌トラブルを改善に導きます。
エステや市販のピーリング剤もありますが、美容クリニックで受けるピーリングよりもピーリング剤の濃度が低いため、効果が少なかったり、誤った使用により肌トラブルを引き起こしたりする可能性があります。
ニキビやしわの改善を目的とするピーリングは美容クリニックなどの医療機関で自分の肌にあったピーリングを受けることが大切です。
ピーリングで期待できる効果
ピーリングで肌のターンオーバーを促すことによって以下のようなお悩みに効果が期待できます。
ニキビ跡
乾燥肌
肌のざらつき
シミやくすみ
ニキビや毛穴の開き
肌のハリ感アップ
ピーリングは大きく分けて3種類
ピーリングには大きく分けて以下の3種類があります。
ケミカルピーリング
浸透型ピーリング
マシンピーリング
この3種類の中でも、使用する薬剤などによってさらに細かく分けることができます。
種類が多く、どのピーリングを試したらよいか悩んでしまいますよね。そんな方のために、ここからはピーリングの種類と、それぞれで使う薬剤の一例を詳しく解説します。
1.ケミカルピーリング
施術の概要・特徴 | 肌に酸性の薬剤を塗り、不要な角質を剥離させる |
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薬剤の特徴 | 古い角質を剥がれ落ちやすくする作用がある |
期待できる効果 | 【新しい皮膚の生成を促し、肌のターンオーバーを活性化させる】 ・肌のざらつき ・ニキビ、ニキビ跡 ・くすみ ・小ジワ ・シミ ・毛穴の詰まり など |
料金相場(全顔の場合) | 6,000~10,000円/回程度 |
なお、ピーリングは保険診療外の治療となるため、クリニックによって金額が異なります。また、使用する薬剤、施術部位によっても料金が異なります。
グリコール酸ピーリング
グリコール酸ピーリングは、サトウキビ由来のフルーツ酸の一種「グリコール酸」を使用するピーリングです。グリコール酸は分子量が非常に小さく、皮膚に浸透しやすいというメリットがあるため、表皮の奥にある基底層まで届けることができます。
不要な角質を剥がすほか、毛穴の中の皮脂や角質を溶かしたり、黒ずみの除去効果もあることから、ニキビやニキビ跡の治療としても人気の施術です。
サリチル酸マクロゴールピーリング
サリチル酸(BHA)が主成分となった医療機関のみで使えるピーリング剤です。サリチル酸は効果が高い反面、皮膚へのダメージが心配される薬剤ですが、サリチル酸マクロゴールピーリングは、サリチル酸が皮膚の奥に侵入するのを防ぐ働きがあるマクロゴール酸を配合した薬剤を使います。
そのため、施術後の赤みや皮むけなどが起こりにくく、肌トラブルが心配な方にもおすすめできます。
2.薬剤浸透型ピーリング
施術の概要・特徴 | 薬剤を皮膚に浸透させる |
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期待できる効果 | 【真皮層にある線維芽細胞を活性化することで、コラーゲンの増強やターンオーバー促進を目指す】 ・肌のハリ感アップ ・美白ケア ・毛穴 ・小ジワ ・しわ、たるみ予防 など |
料金相場(全顔の場合) | 15,000円~25,000円/回程度 |
マッサージピール(コラーゲンピール)
以下の3成分を主成分とする「PRX-T33」という薬剤を使います。マッサージをしながら薬剤を塗布するため、マッサージピールとも呼ばれています。
・トリクロロ酢酸(TCA):コラーゲンを生成する真皮の線維芽細胞増殖因子を活性化する
・過酸化水素水:トリクロロ酢酸による肌への刺激を抑える
・コウジ酸:美白成分
一般的なピーリングのように角質を剥がすのではなく、真皮層のターンオーバーを促し、コラーゲンの増生を促進させて美肌を目指すのが大きな特徴です。
ミラノリピール
以下の5種類の酸を用いて、肌の新陳代謝やコラーゲンの生成を促します。
・トリクロロ酢酸(TCA)
・ラクトビオン酸
・サリチル酸
・タルトル酸
・クエン酸
酸以外にも、スクワランなどの保湿成分も配合されています。
トリクロロ酢酸を使用するという点ではマッサージピールと共通していますが、ミラノリピールのほうが濃度が高く、より高い効果が期待できます。
高濃度な分、一時的な皮向けのリスクはありますが、施術中の肌への刺激がも少ないのが特徴です。
リバースピール
マッサージピールに美白効果をプラスしたもので、皮膚の3つの層に、以下の3ステップで薬剤を浸透させます。
・皮膚の奥にある真皮層 → コウジ酸など
・真皮の上にある表皮深層 → 乳酸など
・表皮外層 → フルーツ酸など
皮膚の奥から表面に向かって働きかけるため、リバースピールと呼ばれています。使われる薬剤は美白効果が期待できるものが多く、肝斑や色素沈着の治療に有用とされています。
ブラックピール
韓国やヨーロッパで注目の新しいピーリングです。名前の通り、黒いカーボン(植物性活性炭)を利用したピーリングです。
活性炭には優れた吸着性があり、毛穴の汚れや黒ずみの除去に効果を発揮します。また、乳酸やフェルラ酸などのピーリング成分も配合しており、毛穴、小じわの改善やニキビ、ニキビ跡への効果も期待できます。
3.マシンピーリング
施術の概要・特徴 | ・専用の機械を使ってピーリングを行う ・薬剤のみに頼るのではなく、水流やレーザーなどの機器を併用する |
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期待できる効果 | ・肌のごわつき、ざらつき ・毛穴の詰まり ・ニキビ改善、予防 ・くすみ改善 ・保水力改善 など |
料金相場(全顔の場合) | 10,000円~30,000円/回程度 |
毛穴洗浄(ハイドラフェイシャルなど)
ジェット水流で毛穴の汚れを吸引しながら、美容成分の導入をする施術です。水流に使われる水には保湿成分などの美容成分を加えることもでき、スキンケアをしながら角質除去が可能です。
保湿ケアを同時にできるので、乾燥肌の方や刺激が気になる方にもおすすめです。
レーザーピーリング
カーボンを配合したローションを肌に塗布した上にレーザーを照射するピーリングです。レーザーはカーボンの色に反応するため、ローション効果で毛穴の奥までレーザーの熱を伝えることができます。
レーザーの熱エネルギーには、肌のダメージを修復し、再生を促す効果があります。毛穴の汚れや黒ずみを改善するほか、コラーゲンの生成も促すことで、毛穴を引き締める効果も期待できます。
ダーマペンとピーリングを組み合わせた施術も
ダーマペンとは、超極細の針で肌に穴を開け、その刺激で線維芽細胞の活性化を促す施術です。この肌に穴をあける点に着目し、マッサージピールと組み合わせた施術が「ヴェルべットスキン」です。
ダーマペンで穴が開いたところにピーリングの薬剤をなじませることで、皮膚の奥深くまでしっかりと美容成分を届けることができます。
たとえば、マッサージピールの主成分のひとつであるトリクロロ酢酸は、ターンオーバーとコラーゲンの生成を促す効果が期待できます。コラーゲンをより効果的に増強できれば、ハリ感をアップし、ニキビ跡のくぼみや、たるみ毛穴などの改善も期待できます。
ピーリングのダウンタイム・副作用
どのタイプのピーリングも、ダウンタイムはそれほど長くありません。皮向けや赤み、乾燥などが副作用として生じることがはありますが、2~3日程度でおさまる場合がほとんどです。
とはいえ、ピーリングは角質を剥がしたり、皮膚の奥に刺激を与えたりする施術です。まれに色素沈着や傷あとといった副作用が生じるケースもあることは理解しておきましょう。
副作用は全員に起こるわけではないものの、その日の体調や皮膚の状態によって起こる場合もあります。体調が悪いときや副作用に関して不安があるときは、カウンセリングなどで医師に相談しましょう。
ピーリングを避けたほうがよい方
次のような方は、皮膚だけでなく体にも悪影響が生じる恐れがあるため、ピーリングを行わない方がよいでしょう。
・妊娠している
・授乳中である
・日光を過剰に浴びる
・皮膚の病気に対してステロイドを使用している
・ケロイド体質
・免疫力が低下している
・皮膚にウイルス感染がある
・特定の内服薬を服用している
その他、体調などで気になることがある場合はカウンセリング時に必ず伝えましょう。
ピーリングを受ける際の6つの注意点
1.悩みにあわせてピーリングの種類を選ぶ
2.施術頻度や間隔に注意する
3.紫外線対策を怠らない
4.保湿をしっかり行う
5.肌に摩擦を与えない
6.クリニックからの注意を守る
ピーリングは、古い角質を除去し、毛穴の黒ずみやシミ、ニキビ跡などを改善できる施術です。肌悩みを抱える方にとっては心強い味方ですが、施術にあたってはリスクや注意点もあります。ピーリングを受ける前に次の6つの注意点を確認しておきましょう。
1.悩みにあわせてピーリングの種類を選ぶ
ピーリングにはさまざまな種類があり、それぞれアプローチ方法が異なります。まずは自分の肌悩みに合うのはどのピーリングかを、医師に相談してから選ぶようにしましょう。
たとえば、毛穴でお悩みの方は毛穴の中までケアできるものが第一の選択肢となるでしょうし、肌のハリ感やくすみお悩みの方はコラーゲンの生成を促す効果が期待できるものがよいでしょう。カウンセリング時にしっかりとお悩みの肌トラブルを伝え、より効果的な施術を相談するのがおすすめです。
2.施術頻度や間隔に注意する
ピーリングは、多少なりとも肌への刺激をともなうものです。一般的には、4週間に1回程度がひとつの目安ですが、肌の状態をみながら施術頻度を決めましょう。医師に状態を確認してもらってから決めるのもポイントです。
3.紫外線対策を怠らない
ピーリングでは角質層をはがすため、肌のバリア機能が一時的に低下し、施術後は肌が敏感になります。紫外線によって、肌の炎症や色素沈着などのトラブルを引き起こす恐れもあるため、普段以上に紫外線対策をしっかり行う必要があります。
4.保湿をしっかり行う
施術後は、肌の保水機能も一時的に失われ、乾燥が気になることが多いため、いつも以上に保湿をしっかり行いましょう。十分に保湿することで、低下したバリア機能も高まることが期待できます。
乾燥によって、肌のハリが失われたり、シワやたるみなどの肌トラブルを引き起こしたりする可能性もあるため、注意しましょう。
5.肌に摩擦を与えない
ピーリング後の肌は角質が剥がれているため、非常にデリケートな状態です。乾燥や刺激から守ることが難しいので、ダメージを受けやすくなっています。
とくに洗顔やスキンケアのときには、ゴシゴシこすらないように、十分に注意しましょう。摩擦は肌にダメージを与えるだけではなく、新たな色素沈着を生じさせる恐れもあります。
6.クリニックからの注意を守る
施術当日はメイクが禁止になる場合が多いため、クリニックの指示に従いましょう。
その他に、入浴や飲酒など、日常生活についてクリニックから指示があった場合は必ず守るようにしましょう。
市販とクリニックのピーリングの違い
ピーリング剤はドラッグストアなどでも多く市販されていますが、市販のピーリング剤とクリニックで行っているピーリングには大きな違いがあります。それぞれの違いを理解して、効果的なスキンケアを行いましょう。
市販のピーリングは「日々のお手入れ用」
市販のピーリング剤は、医療機関のものほど成分の濃度が高くありません。そのため、ピーリングの効果も、日々のお手入れのなかで角質を溜めにくくすることが目的となっています。
安価なので手軽にホームケアができますが、使用方法を誤ってしまうと肌にダメージを与えてしまう恐れがあるため、説明書に書いてある使用方法や施術頻度は必ず守りましょう。
クリニックのピーリングは「古い角質を除去できる」
クリニックで使用するピーリング剤は、市販のものより濃度が濃く、高いピーリング効果が期待できます。肌の状態に合った薬剤で古くなった角質を取り除き、さらに保湿ケアや美白ケアなども同時に行うことも可能なため、ワンランク上の美肌を目指せます。
医師や看護師に肌の状態を確認しながら施術してもらうことができるのもメリットです。
まとめ
ピーリングというと「角質を剥がすもの」というイメージがあるかもしれませんが、クリニックで行われるピーリングには多くの種類があります。
薬剤を塗布して角質を剥がすケミカルピーリング
薬剤を浸透させてコラーゲン生成の活性化も期待できる薬剤浸透型ピーリング
専用の機械を使って水流やレーザーで角質を剥がすマシンピーリング
いずれも使用する薬剤が異なり、施術方法もさまざまです。古い角質を取り除くほか、ニキビケアや毛穴の黒ずみ、たるみ、美白ケアができるものもありますよ。カウンセリングでお肌の状態を確認してもらい、お悩みに合わせたピーリングを選んでくださいね!
■「ピーリング」に関する情報
平均価格:1.4万円
ダウンタイム:ほぼなし
リスク、副作用等:赤み、ひりつき、皮むけ
■本記事で紹介する機器・薬剤について
・日本国内において、医薬品医療機器等法上の承認は取得していません。
・医師等が個人輸入により入手したものです。未承認医療機器については「個人輸入において注意すべき医薬品等について」もご参照ください。
・同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
・重大なリスクなどが明らかになっていない可能性があります。