取材したのは…池袋駅前のだ皮膚科副院長 加藤真梨子先生。東京医科歯科大学卒業後、日本赤十字社医療センター初期研修終了。東京大学皮膚科に入局し、東京大学医学部附属病院や東京逓信病院などの勤務後、2019年より池袋駅前のだ皮膚科勤務。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。「肌の治療は、施術回数や時間がかかることが多いので、患者さんとの信頼関係を大切にしています」
Instagram:@one_of_dermatologist
たるみの基本情報
たるみは、次の要因によって30代ごろから始まります。
・骨の萎縮
・脂肪の下垂・増減
・リガメントとSMASのゆるみ
・皮膚のコラーゲン・エラスチンの減少
肌がたるむ仕組み
たるみによって起きる顔の変化
たるみセルフチェック方法
☑️肌を指で垂直に押したときに跳ね返りが弱い
☑️頬を手で持ち上げたときに若々しく見える
たるみの施術
たるみの施術は、マシンや注入がメインの〈皮膚科アプローチ〉と、糸の挿入や切開を伴う〈外科アプローチ〉に大まかに分けられます。
・マシン:RF(高周波)、HIFU(高密度焦点式超音波)、同期並行型超音波ビーム、近赤外線など
・注入:ヒアルロン酸、レニスナ、脂肪溶解注射など
・糸リフト
・オペ:切開リフト、脂肪注入、ナゾラビアルファット除去、ジョールファット除去など
たるみ施術マトリックス
皮膚科アプローチのたるみ施術
【マシン】
主にたるみ施術に用いられるマシンは、RF(高周波)・HIFU(高密度焦点式超音波)・同期並行型超音波ビーム・近赤外線の4種類です。
代表的なマシンやモードは下記の通りです。
RF(高周波) | サーマクール・サーマジェン・ボルニューマ・デンシティ・オリジオX・ポテンツァダイヤモンドチップなど |
---|---|
HIFU(高密度焦点式超音波) | ウルセラ・ウルトラフォーマー(Ⅲ、MPT)ウルトラセル(Q+、Zi)・ソノクイーンなど |
同期並行型超音波ビーム | ソフウェーブ |
近赤外線 | タイタンなど |
RF(高周波)とHIFUの違い
現在多く流通しているのは、RF(高周波)とHIFUのマシン施術です。
RF(高周波)は三次元でのタイトニング(引き締め)、HIFUは二次元でのSMAS層・皮膚のリフトアップ(引き上げ)と効果が異なるため、目的によって使い分けましょう。
RF(高周波)とHIFUの違い
加藤先生
HIFUはコケてしまうイメージを持つ方もいらっしゃいますが、打ち方の工夫次第です。部位ごとの向き不向きについては、口横のポニョはRF(高周波)のほうが向いていると言われています。
RF(高周波)マシンの比較
周波数や出力、加熱方法の違い、モノポーラかバイポーラかニードルRFかなどの違いで効果が異なります。リフトアップマシンの代名詞「サーマクール」に加え、「ボルニューマ」「デンシティ」「オリジオX」は、6.78MHzという周波数で効果が高いと考えられます。
RF(高周波)マシンの比較※追って差し替え
加藤先生
ポテンツァ(1&2MHz)やエリシスセンス(2MHz)、シルファーム(2MHz)はマイクロニードルRFが主な機能で、真皮のコラーゲンを増生させることが目的のマシンです。そのため、皮膚表面のたるみには効果がありますが、深い層のたるみまではアプローチできないため、肌質改善を望む方におすすめです👩⚕️
HIFUマシンの比較
HIFUマシンの比較
線状でHIFUを照射する「リニア」は脂肪を減らす作用があるため、顔のボリューム感にお悩みの方、脂肪溶解注射や脂肪吸引に抵抗がある方におすすめです。シャワー照射は、皮膚の引き締めに効果があります。
加藤先生
HIFUらしいSMAS層からのリフトアップ効果を望む場合は、ドットを試すとよいでしょう。皮膚表層のタイトニングが目的であれば、シャワーも選択肢になります🚿
【注入】
架橋ヒアルロン酸
架橋ヒアルロン酸*を注入することでお肌をふっくらさせて、たるみ・段差ジワを目立たなくする施術。ほうれい線やゴルゴライン、マリオネットラインに向いている。即効性があり、効果の個人差が少ないのがメリット。たるみ・段差ジワの場合は、シワを埋めるだけでなく、原因を見極めてアプローチすると効果的!
*体内での分解・吸収を遅らせるための添加剤が入ったヒアルロン酸
ほうれい線の原因ごとに異なるアプローチ
レニスナ
ポリ乳酸(PDLLA)製剤で、長期的なコラーゲンの生成が期待できる施術。ほうれい線、マリオネットライン、頬のコケ、二キビ跡の凹み、刻まれたシワに向いている。1ヶ月おきに3回の注入を推奨。効果に個人差があるうえ、1回で終わるヒアルロン酸に比べて、回数がかかるが、3回注入すれば1〜2年持続する。
加藤先生
即効性を求めるならヒアルロン酸、肌質改善も同時に望むならレニスナというように使い分けています。ヒアルロン酸は骨膜上〜皮下〜真皮〜表皮の層の違いで製剤を使い分けるのに対し、レニスナはカニューレで真皮直下の皮下に注入していき、自然なボリュームアップを狙います。ちなみに、レニスナをキュアジェットで入れると、ニキビ跡や毛穴、刻まれたシワにも効果的ですよ◎
脂肪溶解注射
脂肪を溶解する有効成分を、脂肪を減らしたい部分に注入する施術。たるみ・段差ジワの原因になっているナゾラビアルファットやジョールファットなどにアプローチすることができ、2ヶ月くらいかけて効果がじわじわと出てきます。
加藤先生
皮膚科医視点では、脂肪を除去する外科施術だと皮膚が余る心配があります。しかし、脂肪溶解注射で少しずつ脂肪を減らしつつ、マシンで皮膚のタイトニングする方法は、皮膚が余るリスクを減らせる点ではよいと思います!
外科アプローチのたるみ施術
続いて、皮膚科医視点での外科施術について教えていただきました!
糸リフト
溶ける糸をこめかみ辺りから皮膚の下に挿入することで、顔のたるみを引き上げる施術。即効性があり、数ヶ月〜半年くらいは目に見える効果が持続します。
加藤先生
皮膚科医視点では、糸が溶けても皮膚のコラーゲンを増やしてくれるので、即時のリフトアップの効果が落ちた後もメリットがあると考えています。豆腐に糸をかけてもリフトアップの効果がないように、皮膚においても糸リフトの前に、HIFUやRFで肌の土台を作っておくと効果は高くなり、持ちも長くなりますよ💫
切開リフト
こめかみから耳にかけて切開し、SMASという筋膜層から引き上げることでたるみを改善する施術
加藤先生
どのような状態のたるみでも、皮膚科アプローチの効果は見込めます。ただし、60〜70代まで美容医療経験がなく、皮膚のたるみがしっかりあるようでしたら、切開リフトが適応になることもあります。お若い方でも、患者さんの現在の状態と理想に距離があれば、外科施術を選ぶのもよいでしょう。お顔がたるみきる前に、コツコツ美容皮膚科でケアしておくのが理想的ではありますね💎
たるみにまつわる疑問
たるみの基本情報を踏まえて、浮かんできた疑問にもお答えいただきました!!🙏
トリちゃん
たるみやすい人の特徴や生活習慣はありますか?
加藤先生
骨が小さい方のほうが、皮膚が中央によってたるみが目立ちやすい傾向があります。体型としては、痩せている方のほうがたるみやすいとされます。
生活習慣だと、特に喫煙と紫外線が悪影響です。
たるみやすい人の特徴
トリちゃん
体重の変動が大きい人はたるみやすいですか?
加藤先生
たるみやすいです。体重が増えたときに皮膚が伸びて、痩せたときに皮膚がたるんでしまうので、体重の増減には気をつけましょう!
トリちゃん
シワやたるみに対するコラーゲンの経口摂取について、効果がある可能性が示唆されていますが、先生の見解を教えてください!1)
加藤先生
普段からバランスの取れた食事をすることのほうが大切な気がしますね。コラーゲンの摂取も効果がないとは言いませんが、シワ・たるみの施術を行ったほうが効果は高いと思います。
トリちゃん
骨萎縮を防ぐ方法はありますか?
加藤先生
カルシウムを摂るに越したことはないですが、残念ながら自身でできることはなさそうですね。
トリちゃん
先生がたるみ対策に糸目をつけず課金するとしたら、何をされるか教えてください!
加藤先生
HIFUとRFと糸リフトとヒアルロン酸・レニスナ注入に課金します。
土台の改善のため、3ヶ月おきにRFとHIFUを受けます。
(例:1月HIFU、4月RF、7月HIFU、10月RF)
同日に受ける「ボルハイ」のようなメニューも出てきていますが、私ならそれぞれの効果を楽しみたいので別日で受けると思います。
即効性のためには年1回の糸リフトと、1〜2年に1度、ボリュームが少ない部位にヒアルロン酸やレニスナも入れたいですね!
まとめ
なんとも奥の深いたるみ施術!オタクたちの中でも「私はHIFU派」「私はRF派」というように流派が分かれているようなイメージもありました!
しかし、たるみ改善の観点からは、どちらも受けたほうがいいとは目から鱗。来年の施術計画に盛り込んでいこうと思います💪
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【出典元一覧】
1)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37432180/
紹介した施術について
・日本国内において医薬品医療機器等法上の承認を取得していない薬剤を、医師が個人輸入をして使用している場合があります。重大なリスクなどが明らかになっていない可能性があるため、事前に医師に確認してから受けるようにしてください。