ほくろ除去にかかる費用は?自分で取ると危険って本当?
目の下や口元、鼻の横など、誰でも気になるほくろが、ひとつはあるのではないでしょうか。
「自分で取るのは危険かも」と思いつつ、どこでほくろを取ることができるのかわからない人に、ほくろ除去の美容整形について紹介します。
主流になっているレーザー治療から、「自分でほくろを取るとどうなるか」といったことまで、ほくろに関する正しい知識を手に入れましょう。
この記事の監修者:小松磨史
みずほクリニック
札幌医科大学卒業後、札幌医科大学形成外科助教、砂川市立病院形成外科医長、大塚美容形成外科・名古屋院院長を経て2014年に池袋にて、みずほクリニックを開業。
美容外科手術、形成外科手術、美容皮膚科、レーザー治療など幅広いメニューで診療を行っています。H6年 札幌医科大学卒業(第41期)
H6年 札幌医科大学・形成外科入局
H10年 札幌医科大学・大学院卒業 医学博士取得
H10年 米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)
H12年 札幌医科大学・形成外科 助教
H14年 北海道砂川市立病院・形成外科 医長
H17年 大手美容形成外科にて院長として歴任
H26年 みずほクリニック開院(院長)
このドクターについて詳しく見るほくろ除去とは?
ほくろは、メラニン色素を作るメラノサイトが一部に集まってできた母斑(ぼはん=皮膚の奇形)の一種です。
アメリカからレーザー治療が入ってきたことで、簡単にほくろを取り除けるようになり、日本でも美容目的で行う人が増えています。
レーザー治療が普及する前までは、皮膚がんの可能性や、日常生活に支障がある場合のみ切除して縫合する手術が行われていました。
レーザーで取るのが主流
ほくろ除去施術では、レーザーで焼く治療方法が一般的になっています。レーザー治療は、ほくろのもとになっている母斑細胞だけを焼くシンプルな方法のため、トラブルも少なく美容目的の人におすすめです。
ほくろ除去で使われている主なレーザーには、炭酸ガスレーザーとも呼ばれるCO2レーザーと、Qスイッチレーザーの2つがあります。
CO2レーザーは、ほくろが持つ水分に反応して、熱エネルギーを発生させて、その熱でほくろを破壊します。
Qスイッチレーザーには3種類あります。その中でも、ほくろ除去には黒メラニンに反応する性質があり、ピンポイントでほくろに当てることができるQスイッチルビーレーザーがよく使用されます。健康な肌への影響を最小限にしながらほくろ除去が可能です。
レーザー治療は、比較的皮膚の浅い位置にあるほくろに適しています。ほくろを削るだけのため縫合の必要がなく、施術時間も数分と短時間で終わるため、患者さんの負担が少ないというメリットがあります。
ただし、施術の際に、レーザーが患部に当たると、ゴムで弾かれたような痛みが生じます。1〜2つのほくろであれば我慢できるかもしれませんが、痛みが心配な人は局所麻酔で対応してくれる美容クリニックもあるため、施術前に医師に相談しましょう。
切縫法や電気分解のほくろ除去もある
深く根を張ったほくろの除去には、レーザーではなく、切縫法や電気分解がおすすめです。
切縫法は、ほくろをくりぬくようにメスで切開し、傷口を縫合して行う手術になります。
電気分解は電気を流した金属で、ほくろの細胞を削り取る治療方法です。
切縫法ではレーザー治療に比べて傷が残る心配がありますが、ほくろを根こそぎ切除できるため、再発の可能性が低くなるメリットがあります。電気分解法においても、取り方によっては
レーザーによる除去法よりも再発率を抑えることが可能です。
ほくろ除去のダウンタイム
施術の種類によって経過は変わってきますが、いずれのほくろ除去でも、患部の赤みが引いて落ち着くまでに3〜6ヶ月程度かかります。
個人差もありますが、レーザー治療や電気分解法の場合は、傷の表面がかさぶたになって剝がれるまで1~2週間程度です。その間は炎症を抑える軟こうを塗りながら、傷の部分を覆うテープを貼って保護しましょう。
切縫法では、抜糸まで1週間ほどかかり、手術から2回~3回は通院する必要があります。いずれの施術後でも、傷が落ち着くまでの間は、気を付けなければならないことがあります。
ダウンタイムで気を付けたいこと
ダウンタイム中のシャワーやメイクについては、基本的には当日から可能です。メイクは治療終了後に患部に貼られる保護テープ※の上からするようにしましょう。
ただし、切縫法だけは当日のシャワーをすすめていない場合もあります。医師の指示に従ってください。
また、ダウンタイムの注意点としては、紫外線対策をしっかりするようにしましょう。
治療患部は通常より紫外線の影響を受けやすく、色素沈着でほくろやしみが残ってしまう可能性があります。紫外線対策として日焼け止めや患部を覆うテープは常に剥がさないようにしましょう。
※レーザー除去や電気分解法の場合必ずしもテープを貼らない場合もあります。クリニックごとに方針はかなり異なりますので事前によく確認しておきましょう。
術後にほくろや跡はどうなる?
ほくろの切除を受けたものの、きれいになくなるかどうか、思ったとおりの結果を得られるか不安になるかもしれません。
患部が落ち着くのを待つしかありませんが、一般的に術後どのような経過をたどるのかまとめました。
ほくろはかさぶたになって剝がれる
術後数日は赤く痛々しい患部も、1週間前後たつと、かさぶたのように茶色く変色してきます。このとき、早くきれいにしたいからと、かさぶたを強引に剥がすのはやめましょう。
こすらずに自然にはがれ落ちるのを待てば、2週間ほどできれいなピンク色の肌がでてきます。しばらくは周囲の肌の色と合わないため目立つかもしれませんが、時間の経過とともになじんでいきます。
陥没跡が残るリスクもある
ほくろ除去をした傷跡が、陥没して残ってしまったというケースもあります。本来、肌は長くても半年ほどで再生するものですが、ほくろの根が深かったことや医師のスキル不足などが原因となって、傷跡が残る場合があるのです。
また、術後にかさぶたを強引に剥がした場合や、指示通りに薬を塗ったり傷の保護をしなかったりした場合にも、陥没跡が残ることがあります。
そこで、きれいな肌に戻るよう、ほくろを除去した後は病院でもらえるテープを使って、傷口を保護するようにしましょう。テープのタイプによっては湿潤療法によって皮膚の細胞を増やし、傷の修復速度を早める効果があるものもあります。
ほくろ除去の費用はいくら?
ほくろ除去の相場はクリニックによっても異なりますが、大体の目安をまとめました。
切縫法 | 50,000円~200,000円程度 |
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電気分解法 | 5,000円~10,000円程度 |
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CO2レーザー(炭酸ガスレーザー) | 5,000円~10,000円程度 |
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Qスイッチレーザー | 10,000円~30,000円程度 |
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上記の金額は、ほくろひとつを切除する自由診療の費用になります。ほくろのサイズや深さ、除去するほくろの数によっても金額は変わってきます。
レーザー治療を希望してもほくろの状態によっては、別の施術のほうがよいこともあります。医師と相談してから決めるようにしましょう。
ほくろ除去で保険適用になるケース
ほくろ除去には、保険診療と自由診療のふたつがあります。
健康保険が適用になるケースは、除去したいほくろの状態が重要になってきます。ほくろの中には皮膚がんがあることもあるため、まず医師の診断を受ける必要があります。
どのようなほくろが健康保険の適用になるのか見ていきましょう。
ほくろが悪性の場合
切除したいほくろがメラノーマ(悪性黒色腫)と呼ばれる皮膚がんである場合は、健康保険が適用になります。
メラノーマは、ほくろと見分けが付きにくいことから発見が遅れてしまうケースがあるため注意が必要です。
メラノーマの特徴としては、下記が挙げられます。
ここ1〜2年で色や形、大きさなどに大きな変化がある
このような場合は、メラノーマの可能性が疑われます。
ほくろ除去の施術を行う美容クリニックでは、ほくろの事前検査を行って皮膚がんかどうかを確認してから除去手術を行うところもあり、疑わしい場合は専門の病院を紹介してくれます。
もし相談に訪れた美容クリニックが、ほくろ除去を検査なしで行うようであれば、カウンセリングのみで終了し、事前検査を行っている別の美容クリニックで施術を行うようにしましょう。
メラノーマは、早期発見すれば治るがんと言われています。たかがほくろと思わず、前もって医師の診察を受け、必要であれば病理検査をしてくれる美容クリニックを受診することが重要です。
ほくろが疾患とされる場合
悪性のほくろが疑われる場合以外でも、健康保険が適用になるケースがあります。
まぶたにあって視界に入るほど大きなほくろや、ひげそりのときに引っかかる、ほくろから出血するという場合は日常生活に支障をきたすため、保険適用になることがあります。
気になる場合は、皮膚科に行って診察を受けるようにしましょう。
韓国や台湾でほくろ除去を受けるときの注意点
最近では破格の料金に惹かれて、韓国や台湾でほくろ除去をする人も増えています。
日本ではひとついくらという料金設定ですが、韓国ではほくろ取り放題のプランもあり、気になるほくろを全部除去をしたいという人から注目を集めています。
しかし、日本のクリニックには韓国で施術を受けた人から傷が治らない、傷跡が残ったという相談も寄せられているようです。
格安でいくらでもほくろを除去することができるのは、たしかに魅力的に感じます。ただし、海外で施術を受けた場合は、日本の法律の適用外になります。受ける前によく考えることが重要です。
ほくろ除去は自分でできる?
ほくろ除去をネットで検索すると、自分でほくろ除去ができるという情報を見ることがあります。
アメリカ生まれのクリームや美容レーザーを利用することで、自宅にいながらほくろ除去ができるようですが、果たして安全かどうか気になるところです。
そこで、本当にほくろ除去は自分でできるのか見ていきましょう。
針で取るのはやめる
ネット上では針を使ってほくろ除去を成功させたという体験談があり、うまくいった人の経験談を信じて、真似してしまう人もいるでしょう。
しかし、傷跡が残ったり、化膿して腫れ上がったりするリスクが高いため、自分で取るのはやめましょう。
費用はかかりますが、感染症の心配もなく傷跡もきれいになる病院に任せることをおすすめします。
クリームで薄くするのには時間がかかる
最近では、自宅で手軽にほくろが取れる除去クリームが話題になっています。
アメリカでは、レーザーやメスを使わないクリームによる施術も行われているため、効果があることはわかっています。
日本で有名なのはアメリカで開発されたカソーダという、ひまし油と重曹を原料に作られたクリームです。
ただし、美容クリニックの施術に比べると、繰り返し塗布してほくろを取ることになるため時間がかかります。
また、強いアルカリ性のクリームのため、敏感肌の人は肌がボロボロになってしまう可能性もあります。問題が起きても自己責任になるため、注意して使うようにしましょう。
市販の美容レーザーは危険
自宅用の美容レーザーを購入して、自分でほくろ除去をする方法も注目を集めています。
ただし、市販の美容レーザーは、ほとんどがアメリカ製か韓国製のもので、日本語の取扱い説明書が付いていないものが多いです。また購入者の口コミ評価もさまざまで、我慢できないほどの痛みを感じて、ほくろの除去ができなかったという声も見られます。
手軽に自宅でほくろ除去ができるとしても、海外製品は日本の安全基準に満たないため思わぬトラブルにつながる危険性があります。
肌に問題が生じても、自己責任になることを認識して使用は控えましょう。
もぐさでほくろを焼くのはやけどと同じ
もぐさというお灸(きゅう)を利用して、自分でほくろ除去する方法も話題になっています。単純にお灸の火を利用してほくろを焼き切る方法ですが、危険性が高いことは自明です。
もし、やりすぎてしまったらほくろ除去をするどころか、ひどいやけどの跡が残ることになります。安易にもぐさを使ってほくろを除去するのはやめましょう。
まとめ
ほくろ除去は自分でどうにかするよりも、美容クリニックで安全が確認された方法で除去してもらうほうが安心で確実です。
費用はかかってしまいますが、不確かな方法で自分の肌を傷つけるよりも、万が一のときにしっかり対応してもらえる医療機関で、ほくろ除去を行うことをおすすめします。