隆鼻術とは?
隆鼻術は、いわゆる鼻を高くするための施術です。隆鼻術にはいくつかの術式があり、それぞれに特徴があります。
具体的にどのような隆鼻術があるのか、施術内容について見ていきましょう。
隆鼻術の施術は3種類
隆鼻術は、鼻を高くしたり、鼻筋を通したりできる施術です。
施術方法は大きく分けて、切開してプロテーゼを埋め込む「プロテーゼ挿入法」と自家組織を埋め込む「自家組織移植法」、注射による「ヒアルロン酸注入法」があります。
それでは各施術内容について、より詳しく説明していきます。
1. プロテーゼ挿入法
プロテーゼは、人間の軟骨に近い質感と柔軟性を持つシリコン製の人工物です。
隆鼻術では、プロテーゼを埋め込むことで鼻を高くする術式が一般的です。使用されるプロテーゼには、L型、I型、中間型の3種類があります。
L型プロテーゼは、鼻筋を通しつつ、鼻先も高くすることができます。
I型プロテーゼは、鼻は高くしたいけど鼻先に負担を掛けたくない場合に使われます。
中間型は、L型とI型プロテーゼの間の形をしています。元の鼻の形からL字の角部分が鼻先に負担を掛けてしまうような場合に、鼻先を守りつつ高くすることが可能です。
鷲鼻修正も可能
プロテーゼを用いた隆鼻術では、鼻を高くするだけではなく、形の微調整を行うことができます。プロテーゼによる隆鼻術は、鼻筋の中央が盛り上がった鷲鼻をすっとした形にすることも可能です。
中度や重度の鷲鼻の場合は、鼻骨の出っ張った部分を削る必要がありますが、軽度であれば削る必要はなく、そのままプロテーゼを挿入することができます。
2. 自家組織移植法
自家組織移植法は、プロテーゼではなく、自分の軟骨や筋膜を使用して鼻を高くする方法です。自家組織のため安全性が高く、定着もしやすく、自然な見た目を作り出すことが可能です。
一般的には軟骨が使用されることが多く、耳介軟骨や肋軟骨(ろくなんこつ)、鼻の奥にある鼻中隔軟骨などが使われます。自家組織であることから萎縮して変形したり、一部が体内に吸収されたりすることもあるため注意が必要です。
3. ヒアルロン酸注入法
顔にメスを入れる施術に抵抗がある人や、鼻を高くするとどんなイメージになるのかをあらかじめ体験したい人には、ヒアルロン酸を用いた隆鼻術があります。鼻の付け根にヒアルロン酸の注射を打つことで、皮膚を切開することなく鼻を高くすることが可能です。
ヒアルロン酸は、もともと人間の体内にある保湿成分です。そのため、アレルギー反応が起きにくく、いずれ体内に吸収・分解されていきます。つまり、鼻が高くなるのは一時的であり、効果が持続する期間は限られます。状態を維持したい場合は、再度施術を受ける必要があります。
隆鼻術で鼻にプロテーゼを入れるデメリット
高い鼻が実現できるプロテーゼ挿入法ですが、メリットだけではなく、デメリットもあります。
修正には再手術が必要
プロテーゼを入れたものの、思ったような鼻にならなかったということもあります。その場合は、再手術が必要となります。
プロテーゼの位置を調整する必要が生じると、再度切開しなくてはいけないのです。そうなると、体への負担も大きく、費用がさらにかかってしまうことになります。
一方で、ヒアルロン酸注入法を行った場合は、一定期間が経てば自然に吸収され元に戻ってしまいます。また、早く元に戻したいのであれば、注入したヒアルロン酸を分解することができます。
プロテーゼが皮膚から露出することがある
L型プロテーゼを用いた隆鼻術では、施術後何年か経つとプロテーゼが皮膚を突き破って露出する場合があります。
プロテーゼを覆う皮膚は徐々に薄くなってくるため、皮膚が白っぽくなってきた、プロテーゼの形が何となくわかるようになってきたという場合は、早めに受診しましょう。
プロテーゼを除去するか、自家組織へ入れ替えるといった対処が必要となります。
鼻づまりが改善しない場合は手術が必要
プロテーゼを挿入した後、腫れの影響によって、鼻づまりが起きることがあります。
施術後すぐの鼻づまりは徐々に解消されていきますが、しばらく経っても鼻詰まりが改善しない場合は、再手術が必要になることがあります。
プロテーゼはレントゲンに写る
プロテーゼを入れたことを誰にも知られたくない人もいるでしょう。しかし、プロテーゼはレントゲンやCT、MRIの検査時に写ってしまうことがあります。
鼻の治療のために鼻にスポットを当てて撮影するのであればまだしも、別の部位をレントゲンやCTで撮られる場合は、あまり気にする必要はないでしょう。
隆鼻術のダウンタイム
ヒアルロン酸注入法では、鼻に注射針を刺して、ヒアルロン酸を注入するだけのため、ダウンタイムはほとんどありません。
しかし、プロテーゼや自家組織を用いた隆鼻術の場合は、プロテーゼを挿入するために鼻の中を切開したり、自家組織を採取したりする必要があるため、ダウンタイムが生じます。
それでは、プロテーゼや自家組織を移植した場合のダウンタイムについて詳しく説明していきます。
数日間はギプスが必要
プロテーゼや自家組織を用いた隆鼻術では、患部が安定するまでギプスで固定する必要があります。固定期間は3日間程度で、夜間や就寝時にも装着しなければなりません。
最近はソフトプロテーゼと呼ばれる、柔らかい素材のものも登場しています。ソフトプロテーゼを使用した場合は固定が不要の場合が多く、腫れ予防の際も固定テープが使用されます。
腫れは1週間ほどで引く
施術後3~4日程度、鼻全体と目元が強く腫れることがありますが、1週間ほどで落ち着いてきます。
また、鼻筋の皮膚が赤紫色に変色することがありますが、一時的な症状で多くは2~3週間程度で目立たなくなります。
その他の注意点
鼻の組織が安定するまでは、血流がよくなるような行為は控えましょう。洗顔やシャワーは術後翌日から可能ですが、入浴は腫れが引いてからとなります。
抜糸は1週間程度で行われ、その後はメイクが可能です。
隆鼻術の手術費用
鼻を高くする隆鼻術は、美容目的で行われることから、保険が適用されない自由診療です。
施術ごとにどれくらいの費用になるのかをまとめました。
プロテーゼ挿入法 | 180,000円~330,000円 |
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自家組織移植法 | 300,000円~700,000円 |
ヒアルロン酸注入法 | 10,000円~90,000円 |
プロテーゼを使用する場合は、既製品を使うか、自分の鼻に合わせたオーダーメイドのプロテーゼを使用するかでも金額は異なります。クリニックによってはプロテーゼをオーダーメイドで特注すると、追加料金が発生することがあります。オーダーメイドのプロテーゼを使用する場合は、費用もしっかり確認する必要があります。
また、自家組織を使用する場合は、先に軟骨や筋膜を採取する必要があり、その分の費用が必要となります。
ヒアルロン酸注入法は安い費用で行うことができますが、プロテーゼと異なり、半永久的に効果が持続するわけではありません。定期的にヒアルロン酸を注入し続ける場合は、その分費用がかさんでいくことになります。
隆鼻術と鼻中隔延長術の違いは?
鼻の美容整形には、隆鼻術のほかに「鼻中隔延長術(びちゅうかくえんちょうじゅつ)」という施術があります。
鼻中隔延長術は鼻先を高くする施術で、その術式は隆鼻術と異なります。具体的にどのような違いがあるのか解説していきます。
鼻中隔延長術は鼻の構造を変える手術
鼻中隔延長術は、鼻に軟骨を移植することで鼻先の形を整える術式です。鼻が小さいあるいは短い、また鼻が上を向いているという悩みを解消するために行われる施術になります。
L字プロテーゼにより鼻筋と鼻先を整えようとすると、鼻先部分の皮膚が薄くなり、やがて突き破るリスクがありました。
しかし、I字プロテーゼの挿入と鼻中隔延長術を一緒に行うと、鼻筋と同時に鼻先も高くすることができ、将来的にプロテーゼが皮膚を突き破る心配が少なくなります。
隆鼻術を韓国で受ける場合の注意点
韓国は施術実績が多いことに加えて、日本国内で行うよりも施術費用が安いことから、韓国で美容整形を受ける人も珍しくありません。
隆鼻術についても同じで、韓国での施術を希望している人もいるでしょう。しかし、韓国に限らず海外で隆鼻術を受ける場合には、そのリスクについても考えておく必要があります。
海外で美容整形を受けるときのリスクについて見ていきましょう。
海外では日本の法律が適用されない
韓国を含む外国では、トラブルが発生しても日本の法律は適用されません。そのため、海外で隆鼻術を受けた後に問題が起こっても、日本の法律では解決できないというリスクがあるのです。
いざというときの対処法についても、事前に確認しておく必要があるでしょう。
トラブルは手術を受けたクリニックで相談する
プロテーゼが露出してしまったり鼻が変形してしまったりしたときは、施術を受けたクリニックの受診が基本です。日本国内であれば、すぐに向かうことができますが、海外となると簡単には受診できません。
費用の面だけではなく、施術後のアフターフォローが安心して受けられるかについても、クリニックを選びの重要なポイントとなるのです。
まとめ
鼻を高くするための隆鼻術は、プロテーゼや自家組織を入れる術式とヒアルロン酸を注入する方法があり、それぞれに長所と短所があります。
プロテーゼを用いる隆鼻術は、長持ちする一方でダウンタイムがあり、プロテーゼが露出してしまうリスクもあります。一方で、ヒアルロン酸注入は気軽に受けやすいものの、持続期間が限られてしまうという短所があります。
海外で隆鼻術を受ける場合は、これらのリスクのほかに、言葉の違いやアフターフォローの受けにくさについても理解したうえで、施術を受けるクリニックを選択することが重要です。