眼瞼下垂の原因と予防法

私たちは普段、無意識のうちにまばたきをしていますが、まぶたを上げるには、次の3つの筋肉や膜が重要な役目をしています。
・瞼板(けんばん)…まぶたを支えている膜
・眼瞼挙筋(がんけんきょきん)…筋肉を収縮させて目を開閉させる土台の筋肉
・挙筋腱膜(きょきんけんまく)…瞼板と挙筋腱膜をつないで目を開閉させる結合部
土台の動きを伝える挙筋腱膜がゆるんでしまったり瞼板から外れたりしまうと、瞼板(まぶた)を持ち上げることが難しくなり眼瞼下垂になります。
そのため、挙筋腱膜を疲弊させる行為を減らすことが眼瞼下垂の予防につながります。私たちの日常生活の中にはさまざまな眼瞼下垂の原因が隠されていますが、次のようなことに気を付けましょう。
物理的な刺激を避ける
洗顔やクレンジングで強くこすって洗っている方やアイメイクをばっちりしている方は要注意。まぶたにある挙筋腱膜を傷めてしまう可能性があります。同様に、目がかゆい時にもまぶたをこすってはいけません。目薬を使うなどして、物理的な刺激を与えないようにしましょう。また、ハードコンタクトレンズを使用している方は、指で外すのではなく、スポイトで外すのがおすすめです。
アイプチ
手軽に二重を作れるアイプチですが、皮膚を接着剤などで粘着させるため、長く使っていると皮膚が伸びてしまうことがあります。また、皮膚がかぶれてしまうこともあり、皮膚が腫れたり硬くなったりする原因にもなっています。いったん伸びてしまった皮膚は元に戻らないので、アイプチを愛用している方はまぶたがたるんで眼瞼下垂になりやすいのです。一重で悩んでいる方は、二重整形を受けて刺激やわずらわしさから逃れるのもひとつの手でしょう。
マツエクや過度なつけまつげ

まぶたを上げるときに働く眼瞼挙筋はとても薄くデリケート。わずかに重みが増しただけでも大きな負担になってしまうのです。試しに爪楊枝を1本、まつ毛に乗せてみましょう。とても重く感じるはずです。そのため、マツエクやつけまつげも眼瞼下垂の予防という点からはおすすめできません。
長時間のパソコン作業
パソコンやスマホの画面には小さな点滅する光が密集しているため、長時間モニター画面を見つめ続けることで、目に疲れや緊張感をもたらしてしまうのです。日常的に画面を凝視する習慣がある方は、1時間のうち15分程度は画面を見ない時間を作るようにしましょう。
先天性眼瞼下垂症は予防できない
一般的な眼瞼下垂は予防が可能ですが、先天性眼瞼下垂症(生まれつきの眼瞼下垂症)は、もともとまぶたを上下させる眼瞼挙筋や神経に異常があるので、日常生活でどんなに気を付けていても残念ながら予防することはできません。ただ、眼瞼下垂治療(手術)によって改善することは可能です。たいていの場合は健康保険が適用されるので、治療のための費用はそれほど高額にはならないでしょう。
眼瞼下垂のための治療

眼瞼下垂は医療機関で予防・治療が可能です。どのような治療法があるのか、ここでは2つの方法を紹介します。
ボトックス注射による予防
ボトックス注射はボツリヌス菌から産生された「A型ボツリヌストキシン」を注入する方法ですが、筋肉の動きを抑える働きがあるため、額にボトックス注射をすると、額の筋肉が動かなくなって眼瞼挙筋を動かすトレーニングとなり、眼瞼下垂の予防ができることがあります。
眼瞼下垂治療
外科手術で眼瞼下垂を治すことも可能です。皮膚がたるんでいるだけなら、たるんだ部分を切除します。所要時間は片目でおよそ15分程度と短時間ですみます。一方、眼瞼挙筋が伸びてしまっている場合は改善が難しいため、麻酔をかけてまぶたを切開し、筋肉の位置を調整します。この場合は片目で30分ほどが目安です。
切開後は1週間ほどで抜糸し、おおむね1~2週間ほどで腫れが目立ちにくくなっていきます。まぶたを切開するので見た目が変わってしまうのではと心配になるかもしれませんが、術後どんな変化があるかは、主治医とよく相談してみましょう。
まとめ
目がかゆくなりやすい方や洗顔でゴシゴシこすってしまう習慣がある方、アイプチやマツエクなどをしている方などは生活習慣を変えることで眼瞼下垂の予防となります。また、パソコンやスマホをよく使う人も要注意です。眼瞼下垂に目の疲れは禁物。普段の生活から、目に負担をかけないことを心掛けていきましょう。