鼻中隔延長術とは
鼻中隔延長術は、鼻中隔に軟骨を移植することによって鼻を希望の角度や長さに延長する施術です。
延長する向きを変えることで伸ばす方向を調整することができるため、比較的応用範囲が広い鼻の手術法になります。
鼻中隔とは
鼻中隔とは左右の鼻の穴を隔てている壁のような部分のことを言います。
日本人は骨格的に鼻中隔の部分が短かったり小さいことが多く、そのため鼻が低かったり上向きになっている傾向があります。
この鼻中隔の部分に長さを出すことで、鼻に高さを出したり下向きに伸ばすことができます。
鼻中隔に追加する軟骨
鼻中隔の部分を伸ばす際には、自身の軟骨を使用して長さや高さを出します。
耳介軟骨
耳の後ろの耳甲介軟骨か、耳の中の耳珠軟骨のいずれかを採取して形を整えた後、鼻中隔軟骨の先端に移植します。いずれも傷跡はほぼ目立ちません。なお、耳介軟骨は柔らかく弯曲することもあるため、使用しないクリニックもあります。
鼻中隔軟骨
鼻中隔軟骨の一部を採取して伸ばしたい方向に移植します。
採取できる鼻中隔軟骨の大きさには個人差があり、鼻先の高さや鼻の長さを大きく延長する際には延長材料としての軟骨が不足する場合があります。その際には、耳介軟骨や保存軟骨を併用して補強を行います。
肋軟骨
女性の場合はアンダーバストの下部分を、男性の場合は肋軟骨の直上を、数センチ切開し肋軟骨を採取して鼻中隔軟骨の先端に移植します。肋軟骨は比較的大きく頑丈な軟骨のため、鼻先に大きな変化を希望される際にはお勧めです。
伸ばしたい方向にあわせて目的にあわせて調整可能
延長に用いる軟骨をどの位置と方向に移植するかによって、鼻先や鼻柱のニュアンスを変えることができます。
鼻先に高さを出したい
鼻先を高くしたい際には、採取した軟骨を鼻中隔の高い部分に移植します。
鼻先を下に下げたい
鼻の穴が見える、鼻先が上を向いているという際には、鼻中隔の斜め45度くらいの位置に軟骨を移植して、鼻先を斜め下に向けます。
鼻先を上に向けたい
逆に鼻が下を向きすぎている際には、斜め上に軟骨を移植して鼻先を少し上向きにします。
鼻柱を下に伸ばしたい
鼻柱の付け根が小鼻の付け根よりも頭側にあるとバランスが悪く見えます。その際には、鼻柱の部分にも軟骨を移植して鼻柱を下に伸ばします。
オープン法とクローズ法
鼻中隔延長術には鼻柱部分を切開して行うオープン法と、鼻の穴から見えない部分を切開して行うクローズ法の2つの手法があります。本格的な鼻中隔延長を行う際には、オープン法が必要となります。
オープン法の場合、視野を広くして手術を行うことができるため希望に沿った方向・高さにできるだけ近づけることが可能です。
クリニックによっては傷跡が目立たない方法としてクローズ法をプッシュしてくるところもありますが、狭い視野の奥でのトンネル作業となりますので、鼻の軟骨の中で最も深い位置にある鼻中隔延長軟骨への操作に制限がかかり、手術結果が不安定になります。
形成外科経験のある医師であればオープン法でもしっかりと縫合を行えば傷跡はほとんど分からないほど目立たなくなります。
鼻中隔延長術のメリット
アレルギー反応がない
プロテーゼなどを挿入する際には万が一の感染などの不安もありますが、自分の身体から採取した軟骨を挿入するため、アレルギー反応がありません。
鼻の高さや向きなど様々な悩みを解決できる
鼻中隔延長術では、鼻中隔のどこに軟骨を追加するかによって鼻のラインを様々な形に仕上げることができます。
「鼻先を高くしたい」「鼻先を上にツンとさせたい」「鼻先をもう少し下に向けたい」「鼻柱を下に伸ばしたい」といった様々なお悩みに対応可能です。
鼻の穴の形も調整できる
横長の鼻の穴や丸い鼻の穴の方は、縦長のバランスのよい鼻の穴の形になります。
鼻中隔延長法のデメリット
経験豊富な医師が少ない
鼻中隔延長はここ10年ほどの間に広まった術式のため、手術数が多い医師が限られているという現状があります。
鼻の整形を得意としている医療機関に相談するようにするとよいでしょう。
鼻先が硬くなる
鼻中隔延長では、仕上がった鼻先は必ず硬くなります。鼻先を指で押しつぶしたり、「ブタ鼻」ができなくなります。
術後の後戻り・変形
延長材料の軟骨の強度が弱い場合や、無理な延長を行った場合、術後に鼻尖が曲がったり、多少後戻りしたりすることがあります。
感染や化膿
手術で使った糸が縫合した皮膚から飛び出るなどが原因で、手術を行った箇所が感染したり化膿するリスクがあります。
皮膚の壊死
鼻先は目元と違って皮膚が硬い部位であり、高さを出そうと無理に皮膚を伸ばすと皮膚の血行が悪くなり場合によっては皮膚は死んでしまう可能性もあります。
鼻中隔延長術の向いてない人
鼻中隔延長術は、鼻先に高さを出したり向きを変更したりすることができる手術です。
様々な鼻の術式の中でも、比較的大胆に調整ができる手術法ですので、少しだけ変化を加えたい、自然でばれない程度に高さを出したいという際には鼻尖形成などがよいでしょう。
鼻中隔延長術のダウンタイム
術後は3~7日ほどギプスで鼻先を固定します。
鼻先の腫れや赤みは術後1週間~2週間ほど続きます。
1週間後に抜糸を行うまでは傷周辺のメイクは避けるようにしてください。
シャワーは当日から可能です。患部はぬらさないようにしてください。
鼻中隔延長法の注意点
鼻づまり
鼻中隔延長術の手術後、鼻が詰まったような症状を感じることがあります。1週間程度で改善しますが、その後も継続して詰まった感じがする際には一度医師に相談するとよいでしょう。
事前にイメージをしっかり伝える
鼻中隔延長術は、軟骨を移植する方向によって様々な悩みを解決することができます。
半面、移植する軟骨の方向によっては、希望していたイメージと異なる結果になることも。
高さを出したいのか、上向きにしたいのか、またどのくらい変化を加えたいのかなど、事前に医師としっかりとシミュレーションするようにしてください。
鼻中隔延長術によるトラブル例
延長方向のミス
鼻を高くしたいと思っていたのに、追加した軟骨が下方向を向いてしまうと高さが出ないだけではなく想定外の方向に鼻のラインが変わってしまうことになります。
事前に医師とどんな悩みを解決したいかをしっかりすり合わせすることがポイントです。
左右差が出る
鼻中隔延長術の際に、鼻中隔の間に挿入した軟骨のサイズや方向がずれてしまうと、術後の鼻のラインが左右に傾いたり、左右いずれかの鼻の穴が小さくなるなどの症状が出ることがあります。
鼻中隔延長術の経験があり鼻の整形に詳しい医師のもとで手術を行い、できるだけミスが少なくなるような医療機関を選ぶことは大切です。
皮膚が盛り上がる
鼻先の皮膚が引き伸ばされて薄くなることで、移植した軟骨の輪郭がポコッと浮き出てしまうことがあります。
術後すぐに起こることもありますが、術後数年が経過し、次第に軟骨の輪郭が浮き出てくることもあります。
鼻中隔延長術の手術について
- まずは診察で希望のラインについて医師に伝え、カウンセリングでデザインを決定します。
- 通常、静脈麻酔と局所麻酔を併用して手術を行います。
- 麻酔がかかったら手術に入ります。
- 耳や肋軟骨などから軟骨を採取した後、オープン法によって鼻中隔に軟骨を移植し高さを出したり鼻先の方向に変化を加えます。 術式や内容にもよりますが、手術は2時間ほどで終了します。
- その後患部を10分ほど冷やし、ギプスをして終了です。
鼻中隔延長法の費用感
移植する軟骨をどこからとるかによって価格に差が出てきます。
肋軟骨の場合は切開範囲も広くなるため価格も高くなります。
平均的には、480,000円~850,000円程度が相場です。