※一般的によく使われている「ボトックス」という名前は、アラガン社という製薬メーカーが製造している商品の名前です。そのためこの記事では、全体の薬剤の意味で使われている「ボツリヌストキシン」という言葉で解説します。
しわ取りボツリヌストキシン注射とは
しわは、加齢に伴って目尻、目元、額、ほうれい線、ゴルゴラインなど、顔の様々な部分に生じます。
一口にしわと言われることが多いですが、実はしわには種類があります。しわの種類によって治療法も異なるため、部位や症状にあわせたしわ治療を行うことが大切です。
ボツリヌストキシン注射が向いているしわとは
ボツリヌストキシン注射はしわの中でも「筋肉に由来するしわ」に効果をもたらす施術です。いずれも筋肉を動かすとできるしわのため、「表情じわ」ともいわれます。
眉間のしわ(眉を動かした際にできるしわ)
顔をしかめる癖があるとできやすいしわです。眉間に縦のラインにしわが生じます。
額のしわ
目元を上にあげた際に額に生じる横に長いしわです。目元や眉毛を上にあげる癖がある人にできやすい皺です。実年齢よりも老けて見えてしまうしわの一つです。
目尻のしわ
目尻からこめかみに向けて放射線状に広がる小さくて細いしわです。カラスの足跡にも似ており、ちりめんじわともいわれ、目元をギュッとつぶった際によりはっきりと出るしわです。
あごにできるしわ
あごに力を入れた際にできる梅干しのようなしわです。
しわとりボツリヌストキシン注射について
ボツリヌストキシン注射は筋肉由来のしわに効果的な施術です。
そもそもボツリヌストキシン注射とは、ボツリヌス菌から抽出されたボツリヌストキシンというたんぱく質によってできており、筋肉を収縮させる神経伝達に必要なアセチルコリンという物質の放出を抑制する働きがあります。
必要以上に筋肉が動くのを抑えて、しわの原因を防ぐのがボツリヌストキシンの役割です。
ボツリヌストキシン注射(ボツリヌストキシン)の種類
ボツリヌス毒素製剤を使った製剤はいくつかあります。
ボトックス(アラガン社製)
厚生労働省が「しわ改善に効果的」と承認しており、世界でも最も使用されているスタンダードなボツリヌス毒素製剤です。
日本はもちろん、アメリカ、ヨーロッパ各国でその効果は認められており、80ヵ国以上で治療承認を得ています。
ゼオミン(Xeomin)
ドイツのMERZ社が製造したボツリヌス毒素製剤で、FDA認可済です。不必要なたんぱく質を除去しているので抗体産生などのリスクを軽減できます。
ニューロノックス(Neuronox)
韓国Medy-Tox社製のボツリヌス毒素製剤です。KFDA承認。
リジェノックス(Regenox)
韓国ハンス社が製造しており、KFDA承認の薬剤です。他の薬剤と比べるとリーズナブルな値段で治療が受けられます。
ボツリヌストキシン注射(ボツリヌス毒素製剤)の用途
しわ治療として使用されるボツリヌストキシン注射ですが、実はそれ以外にも様々な用途で活用されています。
多汗症治療
わき汗治療としてもボツリヌストキシン注射(ボツリヌストキシン製剤)は使用されています。
エラ張りの改善/小顔治療
歯ぎしりなどの癖があると、耳の下部分(エラ)が張ってしまうことが多いのですが、この発達したボツリヌストキシン注射(ボツリヌストキシン製剤)によって筋肉を衰えさせることでフェイスラインをシュッと小顔にする治療にも使用されます。
ふくらはぎを細くする
筋肉の働きを弱めることができるボツリヌストキシン注射(ボツリヌストキシン製剤)は、エラの治療と同様にふくらはぎの筋肉も細くすることができます。
しわ取りボツリヌストキシン注射のメリット
ダウンタイムがほぼない
ボツリヌストキシン注射は術後の腫れや赤みもほとんどなく、製剤によっては注入時に麻酔を使用しなくても痛みをそれほど感じない施術です。注入は5分ほどで終わるため手軽に受けることができます。
1回の注入で3か月から半年程度持続
一度の注入で三か月から半年程度持続します。
2回目以降も定期的にボツリヌストキシン注射治療を行うと、自然に筋肉の動きが抑制されてきて、効果持続期間が少しずつ長くなります。
しわ取りボツリヌストキシン注射のデメリット
筋肉が動かしにくくなることも
筋肉の動きを抑制する働きがあるボツリヌストキシン注射ですが、例えば眉間のしわ改善で注入した際に、眉毛が動かしにくくなるなど、注入量や注入部位によっては必要な筋肉の動きを少し鈍くしてしまうこともあります。
その他、筋肉の働きが抑制されることによって表情が硬くなったり、目が開けにくくなるといったことも場合によってはあります。過度な量の注入は不自然な表情の原因となることもあるのでボツリヌストキシン治療の経験豊富なドクターにご相談されることをお勧めします。
しわ取りボツリヌストキシン注射の向いてない人
筋肉が原因のしわ(表情じわ)ではないものにボツリヌストキシン注射治療を行っても効果はありません。
具体的にはほうれい線やゴルゴライン、マリオネットラインなどのしわです。
しわ取りボツリヌストキシン注射のダウンタイム
ボツリヌストキシン注射治療によるダウンタイムはほぼありませんが、場合によっては2,3日ほど赤みが出ることがあります。
注入後もすぐにメイクをすることが可能です。術後は注入部位をあまり強くもんだりしないようにしてください。
しわ取りボツリヌストキシン注射の注意点
しわ取りボトックスは注入してすぐに効果は実感しにくい治療です。注入後、1,2週間ほどで効果がしっかりと現れます。
その後は4か月~半年程度効果が持続し、その後少しずつ元に戻ります。
入れすぎると筋肉が動かしにくくなる、表情が硬くなるといったリスクがあるため、少ないのではと感じた際もまずは数週間様子を見ることをお勧めします。
しわ取りボツリヌストキシン注射の施術について
- ①まずは診察でしわの様子を確認します。
- ②希望によって麻酔(麻酔クリームなど)をします。
- ③施術開始です。しわの気になる部位にボツリヌストキシン注射を注入します。
しわ取りボツリヌストキシン注射の費用感
ボツリヌストキシン注射の種類やクリニックによって価格が異なります。
3,000円~50,000円