わきが手術後の再発の可能性は?10年後どうなる?
「以前治療を受けたにもかかわらず、10年ほど経過したらまた臭いが気になるようになった」という人もいますが、実際には年齢とともに変化した体臭が気になるようになっただけであることも多いようです。
一方で、手術後にわきがが再発することがあるのも事実。そこでまずは、わきが手術の方法ごとの再発リスク、メリットデメリットなどについて詳しく見ていきましょう。
再発リスクが最も低いわきが手術は剪除法
わきが手術のなかで再発リスクが最も低いのは、剪除法(皮弁法)だと言われています。これは、ワキを4~5cm切開して皮膚を反転させ、アポクリン汗腺(ニオイのもとになる成分を含む汗を出す器官)をハサミで切除する方法です。
アポクリン汗腺を目視して切除するので取り残しが少なく、再発率は10%程度と言われています。費用も通常は20~40万円ほどかかりますが、健康保険が適用されれば5万円程度に抑えられます。
しかし、傷あとが残ったり、患部が色素沈着したりするデメリットがあるほか、1週間はワキを圧迫固定し、2~3週間はあまり動かさないようにしなくてはならないので、しばらくは日常生活にも支障が出ます。
吸引法や超音波吸引法は再発リスクが高い
吸引法や超音波吸引法は、剪除法に比べて傷あとが目立ちにくく、ダウンタイムも1週間ほどと短いです。しかしこの2つは10~40%程度の確率で再発することがあると言われています。
吸引法:ワキを1~2cmほど切開し、カニューレという器具でアポクリン汗腺を吸引して取り除く方法
超音波吸引法:ワキを2~3cmほど切開し、超音波吸引器でアポクリン汗腺を破壊・吸引して取り除く方法
また、価格は10~15万円程度ですが、健康保険が適用されれば、5万円程度で済む可能性があります。
ただし、超音波吸引法はワキ毛が生えている箇所が治療範囲になり、それよりも広い範囲の治療が必要となる多汗症(過剰に発汗する疾患。汗に雑菌が繁殖するとワキの臭いも強くなることがある)の改善まではカバーしきれないというデメリットがあります。(治療範囲内の発汗は減少します)
シェーバー法は根治が難しい
シェーバー法は、ワキを4~5mm切開してカニューレ(ストロー状の細い管のような医療器具)を挿入し、アポクリン汗腺を破壊・吸引して取り除く方法です。ワキの内部を直接確認せずに手術を進めるため、再発ではなく、そもそもアポクリン汗腺がしっかり取り切れず、わきがが治らない可能性があります。 また、吸引法よりもさらに傷あとが小さく済み、体への負担も少ない一方で、保険適用外なので40万円程度の費用がかかります。
ボトックス注入の効果は半年程度
ボトックス注射で交感神経から汗腺への情報伝達を遮断することで汗を減らし、ワキの臭いを抑える方法もあります。メスを使わない点はメリットですが、効果を感じるまでに数日かかる、効果が続くのは半年程度で定期的に注射する必要があるなどのデメリットもあります。
また、ボトックス注射も人によっては健康保険が適用できますが、それでも1回2~3万円程度の費用がかかります。
剪除法以外の再発リスクが低いわきが手術
傷あとが残るのは困る、何日も仕事を休めないなどの理由で剪除法を受けられない人もいるでしょう。そこで、剪除法以外の再発リスクが低いわきが手術をご紹介します。
マイクロリムーブ法
マイクロリムーブ法は、ワキを5mm~1cm程度切開し、「マイクロシェービングコンソーラー」という器具でアポクリン汗腺を粉砕、除去する方法です。
シェーバーが2~3mmと細いため、傷あとがほとんど残りません。術後の圧迫固定も3日ほどで済み、完治率も70~80%と高いのがメリットです。
ただし、保険適用外なので35~45万円程度の費用がかかる、手術箇所が色素沈着を起こすことがある(漂白クリームを使えば3~6カ月ほどで改善)などのデメリットがあります。
ミラドライ
ミラドライはアポクリン汗腺とエクリン汗腺(無臭の汗を出す器官)をマイクロ波で加熱し、ダメージを与えて発汗を止め、臭いを軽減する方法です。治療後すぐに効果が感じられますし、1度ダメージを受けた汗腺は再生しないので、再発リスクは低いと言えます。
また、切開しないため体への負担が少なく、1週間程度激しい運動を避ける必要がある程度で、日常生活にもほとんど影響しません。
しかし、保険適用外なので25~35万円程度の費用がかかる、術後に違和感や痛み、赤みなどの副作用が出ることがあるといったデメリットがあるほか、マイクロ波を当て損ねた箇所があると、わきがが治らないことがある点にも注意が必要です。
まとめ
わきが手術を受けても、わきがが再発してしまう可能性はあります。再発を避けたいのであれば、再発リスクの低い剪除法を受けるのがよいでしょう。
しかし、剪除法はデメリットも多いため、費用面で折り合いがつくのであれば、再発リスクが低く体への負担も少ない、マイクロリムーブ法やミラドライを選ぶのがおすすめです。各手術の特徴や価格などをしっかりチェックして、自分に合う治療法を見つけましょう。