ボトックス注射の失敗例やリスク
ボトックス注射では、次のような失敗例が報告されています。
表情が不自然になる
多いのがほうれい線への施術ミスです。ほうれい線は顔の脂肪組織がたるんでいる状態なので、脂肪に筋肉を緩めるボトックスを打っても改善はできません。むしろ唇周辺の筋肉が伸びてしまって、目は笑っていても口元は表情がない、といった不自然な顔になってしまいます。
眉尻が不自然に上がってしまう(スポックブロー)
眉の近くに注射を打つ場合、眉頭近くの前頭筋に強く効いてしまうと、その部分の筋肉が下がってしまうことがあります。眉頭側と眉尻側とでは前頭筋の大きさが違うため、眉頭近くの前頭筋が下がると、眉尻は吊り上がってしまいます。このような状態はスポックブローと呼ばれます。
まぶたが下がってしまう
眉間や額のシワを改善しようとすると、ボトックスによって筋肉がゆるむので、眉が下がりやすくなります。するとそのたるみが垂れ下がってまぶたに被さるので、結果として目が小さく見えてしまうことがあります。
また、眼瞼下垂の方や一重の方は額の筋肉も使って目を開けることが多いため、額にシワが刻まれやすく、額ボトックスの希望者も多いです。しかし、眼瞼下垂の方が額ボトックスをするとさらに眼瞼下垂が悪化することがあるため、注意が必要です。
口をすぼめられなくなる
口元のシワが気になる場合は「口輪筋」という筋肉に注射を打ちますが、ボトックスを注射する位置を間違えると、口が思うように動かせなくなることがあります。口をすぼめられなくなると飲食でも不自由な場面がでてくるので、十分に注意したいところです。
肩が上げにくくなる
肩こりがひどい場合や筋肉の張りが強い方は、肩にボトックス注射を打つことで筋肉がリラックスし、痛みが楽になったりスッキリ見えたりするようになります。しかし人によっては効きすぎて筋肉が収縮しづらくなり、肩を上げられない、重いものが持てないといった症状が出ることもあります。ただしこの場合、ほとんどは数日程度で落ち着いてくるようです。
つま先立ちしづらくなる
筋肉が発達してふくらはぎが張っている場合は、筋肉をゆるめるボトックスで細くすることが可能です。しかし太く見える原因が筋肉ではなく脂肪である場合は、ふくらはぎがしぼんだようになって違和感を感じたり、過剰に筋肉がゆるんでつま先立ちをしにくくなったりといったことがあります。
わきがへの効果が現れない
ボトックスはエクリン汗腺(無臭の汗を出す器官)の働きを弱める働きがもあり、わきがにも効果が期待できます。しかしボトックス注射は一定の量と深さに注入することが求められ、医師の技術によって結果が左右される部分が大きい施術です。治療しても効果がなかった、という失敗例もあります。
アレルギー反応が出る
人によってはアレルギー反応を起こしてしまう方もいます。今までにボトックスによるアレルギーを指摘されたことがある方は注射できません。ボトックス以外のアレルギーがある方は、カウンセリングの段階で医師に相談しておくことをおすすめします。
腫れや赤み、内出血
注射を打つので、内出血や赤み・腫れなどが起こる場合があります。いずれも注射を打ったことによる一時的かつ一般的な症状なので失敗ではなく、2~3日ほどで改善することがほとんどです。長引く場合は医師に相談しましょう。
ボトックス注射に失敗したと思った時の対処法
ボトックス注射で失敗してしまった時は、2つの対処法が考えられます。万一のことが起こってしまっても、施術前に知識があると冷静に対処しやすくなります。
ボトックスの効果がなくなるのを待つ
ボトックス注射の効果は永久には続きません。長くても半年ほどで効果が消えるので、失敗してもいずれ施術前の状態に戻ります。そのため、小さな失敗であれば時間が経つのを待つという選択肢もあります。
修正注射を行う
どうしても気になる場合は、ボトックスの作用を弱める「アセチルコリン塩化物」を注射することで修正が可能です。ただ、その効果も3~4日程度しか続かないので、複数回の治療が必要になることもあります。また、修正といっても完全に元に戻すものではなく、あくまでボトックス前の状態に近づけるもので、完全に元に戻すことは期待できません。
ボトックス注射で失敗しないための注意点
ボトックス注射で大切なのは注射量と頻度です。顔の表情などは筋肉によって動かされていますが、その筋肉の発達は人によって違います。効果が出るまでの期間や持続期間は、部位や人によってさまざまなので、医師がその人に合った施術ができるかが重要です。
さらに注射部位はわずかにずれただけでも不自然な表情になってしまうことがあります。失敗しても修正は難しいので実績と経験があるクリニックを選ぶのがおすすめです。
まとめ
注射を打つだけで悩みを改善できるボトックス注射は、決して簡単な施術ではありません。効果が期待できる半面、失敗もないわけではないので、カウンセリングでしっかりと希望を伝え、納得してから受けましょう。