豊胸術でシリコンバッグを挿入するデメリットは?手術の内容も紹介
胸が小さく水着に自信を持てない、着たい洋服が似合わないなど、胸の大きさに関係する悩みを持つ人は多いのではないでしょうか。ヒアルロン酸注入による豊胸より長く大きさを保ちたいという場合は、シリコンバッグ挿入術のほうがよいかもしれません。
今回は、豊胸術の中でも、カップ数を大きくアップできるシリコンバッグ挿入術について、メリットやデメリット、費用について解説していきます。
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この記事の監修者:小野 准平
LOCHIC CLINIC GINZA【ロシッククリニック銀座】
『美容である前に、医療である』
これがLOCHIC CLINIC GINZAの理念です。
クリニック名の由来は、僕が好きな言葉である『医学とはScience(科学)とArt(芸術)である。他の人々の人生を幸せにする医業は、単なる手仕事ではなくArtである。』
(ウィリアム・オスラー)をオマージュし、『Logic(論理)』と『Chic(シック、上品さ)』を合わせた造語です。
美容医療は『美容』の側面が先行しがちですが、扱うものは人体であり、その目的と行為は人生を幸せにする『医療』であることを忘れてはいけません。
僕の専門の一つである『豊胸術』も『豊か』にするのは『胸』だけでなく、その人の『人生』であると考えています。
『なりたい自分になる』『歩みたい人生を歩む』ためのお手伝いを、形成外科学を基礎として培ってきた美容医療でご提供できれば幸いです。2000年
鹿児島ラ・サール高等学校卒業
2006年
東京医科歯科大学 医学部 医学科 卒業
2008年
臨床初期研修修了後、北里大学 形成外科・美容外科学 入局
形成外科全般ならび乳腺外科、消化器外科、整形外科、救命救急センターでも研鑽を積み、日本形成外科学会 専門医 取得後、北里研究所病院・美容医学センターを経て
2014年
東京美容外科 勤務
2016年
東京美容外科 新宿院院長
2000件に及ぶ豊胸手術(デュアルプレーン豊胸、ハイブリッド豊胸等)を行うとともに、独自に開発した豊胸手術の術式を、日本美容外科学会での講演や、医学雑誌への論文執筆を通じて発表している。
鼻整形に関しても、国内外での学会発表や教科書の翻訳・執筆などの学術活動の他、多数メディア出演を通じて、日本における美容医療の普及に尽力してきた。
2022年
LOCHIC CLINIC GINZA 開院
このドクターについて詳しく見る豊胸のためのシリコンバッグ挿入術とは?
豊胸術には、自分の体の脂肪を移植したり、ヒアルロン酸を注入したり、シリコンインプラント(シリコンバッグ)を挿入したりする施術があります。
今回は、豊胸術の中でも、シリコンバッグ挿入術について、解説していきます。
シリコン素材のバッグを胸に挿入する豊胸術
シリコンバッグ挿入による豊胸術は、胸の皮膚の一部を切開して、そこからシリコンバッグを挿入します。切開する場所は、脇、乳輪、乳房下など術式によって異なります。
豊胸のためのシリコンバッグ挿入術の術式には、「乳腺下法」と「胸筋下法」の主に2つあります。元々の胸の大きさや形、肌の厚さなどによって選ばれる挿入部位が異なります。
では、2つの術式について、もう少し具体的に見ていきましょう。
乳腺下法
乳腺下法では、医師と相談して切開位置を決め、そこから乳腺の下の大胸筋膜と乳腺の間にバッグを挿入します。
美容外科で一般的に行われている術式ですが、バストが硬くなりやすいデメリットがあります。また、痩せている人の場合はバストにシワができたり、横になったときにバストが不自然に出っ張ったりするなどの欠点もあります。
そのため、乳腺下法は、元々バストが大きい人や、やや垂れている人に向いている術式です。
大胸筋下法
大胸筋下法は、大胸筋と小胸筋の間を剝離して、その間にシリコンバッグを入れる術式です。乳腺下法より術後の痛みがやや強く、回復するまでの期間も多少長くなります。
また、乳腺下挿入法よりも体の深い位置にシリコンバッグを挿入するため、皮膚や皮下脂肪の薄い人や、元々バストサイズが小さい人などは、大胸筋下法が勧められます。
大胸筋下法は、大胸筋の動きにより、バストが動きやすくなったり硬く感じるなどの欠点があります。
デュアルプレーン法
大胸筋下法と挿入する深さは同じですが、大胸筋を一部切ってシリコンバッグが部分的に大胸筋の上(乳腺下)に出る方法です。大胸筋下法よりやわらかさが出ますが、複雑な方法のため、手術時間が長くなるなどの欠点があります。
シリコンバッグ挿入術のデメリット
シリコンバッグを胸に入れると、下記のデメリットが生じます。
被膜拘縮が起こって乳房が硬くなることがあることがある
シリコンバッグを挿入すると、体は異物が入ってきたと判断して、シリコンバッグを被膜と呼ばれる薄い膜で覆います。
この膜が縮んで硬くなる現象を被膜拘縮といい、乳房が硬くなったり、変形したりすることがあります。
拘縮の原因はさまざまですが、体質(ケロイド体質)によっても変わります。
乳がん検診には注意が必要
豊胸術後は、乳がん検診には注意が必要です。
乳がん検診で受けるマンモグラフィは、胸を強く圧迫する検査です。シリコンバッグが破損する恐れがあるため、受けることはできません。超音波検査を受けるようにしましょう。
また、CTやMRIでは、シリコンバッグが写ります。検診結果の画像を確かめるのは医師や放射線技師のため、周囲にバレる可能性は低いでしょう。
シリコンバッグが破損すると周りの組織が炎症を起こす
胸に入れたシリコンバッグは、破損するリスクがあります。バッグの内容物は破れても周囲に流出しないようになっているものの、周辺組織が炎症を起こしてしまう可能性があります。シリコンバッグが破れたかな? と思った場合は速やかに受診してください。
最近はバッグ挿入時にケラーファンネル等のシリコンバッグを直接触らずに挿入できる器具があり、それによりバッグに傷ができるリスクを減らすことができます。
バッグの大きさによっては傷跡が大きくなる
シリコンバッグ挿入術は、切開が必要となるため皮膚に傷跡が残ってしまいます。
切開は、基本的に傷跡が目立たないようにわきの下やアンダーバストのシワに沿って行います。挿入するシリコンバッグのサイズによっては、それなりに大きく切開しなければならない場合もあるため、傷跡が気になる可能性があります。
リップリングが起きる可能性がある
痩せ型の人がシリコンバッグを乳腺の下に挿入すると、シリコンバッグの端の部分が折れ曲がったり、シワが寄ったり、異物感がわかるリップリングが起こる可能性があります。
シリコンバッグの性能は年々改善されており、リップリングは起こりにくくなっていますが、痩せ型の人は注意が必要です
自分の体型や元の胸の大きさに合ったものを挿入することが重要です。執刀医と入念な施術計画を立てるようにしましょう。
定期的なメンテナンスが必要
シリコンバッグは人工物のため、破裂してしまうリスクや硬くなるリスクは常にあります。定期的に検査を受けて、シリコンバッグの状態を確認することが必要となります。
シリコンバッグの種類や形状について
クリニックによって取り扱うシリコンバッグの種類はさまざまですが、小さいもので120cc、大きいものだと300cc以上とサイズが豊富です。
医師は手術を受ける人の、希望の胸の形や、皮膚、皮下脂肪、乳腺の厚みなどから、最適な形やシリコンバッグのサイズを決めていきます。カウンセリングの際には、どのような大きさ、形にしたいのか、医師に詳しく伝えるようにしましょう。
シリコンバッグの形状
シリコンバッグの形状には、おわん型のラウンド型と、しずく型のアナトミカル型があります。
豊胸手術に使われるのは主にラウンド型ですが、希望の胸の形や今のバストの大きさなどでアナトミカル型を使うこともありますので、カウンセリングで確認するとよいでしょう。
胸元が痩せている人の場合は、アナトミカル型を挿入することをおすすめします。デコルテ部分が不自然に浮き出ることなくバストアップが可能で、仰向けになったときも胸の形が自然です。
シリコンバッグの表面加工
シリコンバッグは形のほかに、表面の質感にも種類があります。
バッグ表面の加工の種類は、手触りがザラザラしたテクスチャードタイプと、ツルツルしたスムースタイプがあります。
スムースタイプは被膜拘縮が起こって硬くなりやすいため、術後のマッサージが必須だからです。一方で、テクスチャードタイプでは、被膜拘縮が起こりにくく、シリコンバッグの位置がずれにくい特徴があります。
近年はテクスチャードタイプの表面加工がさらに細かいマイクロテクスチャードタイプも多くなっています。
シリコンバッグ挿入術のダウンタイム
シリコンバッグ挿入術は、全身麻酔、または局所麻酔と静脈麻酔などで行われます。基本的に入院の必要はないため、手術後に帰宅できます。
帰宅後に麻酔が完全に切れると、痛みがピークになります。痛みのピークは当日の夜〜翌朝です。軽い痛みは数日続くため、辛いときは処方された鎮痛薬を飲んでゆっくり休みましょう。また、施術部位の腫れは、1か月ほどで目立たなくなります。
ダウンタイム中の注意点として、抜糸まで入浴はできませんが、シャワーなどは翌日から可能な場合が多いです。ただし、体が温まると血行が良くなり、腫れや痛みが強くなるため、ぬるめのお湯で洗いましょう。
デスクワークであれば、翌日から仕事が可能ですが、重い荷物を運ぶ肉体労働や、体を使うことが多い看護や介護などの仕事は、可能であれば数日間の休暇をとりましょう。
スポーツは2~3週間後に可能
スポーツは、2~3週間後から可能です。軽い運動から始めるようにしましょう。ただし、心拍数が上がり血行が良くなると、胸の痛みや腫れが強くなることがあります。
スポーツは自分の体と相談しながら徐々に始め、痛みがあればすぐに中止してください。
抜糸後のブラジャーについて
術後数日間は、シリコンバッグがずれないように、バストバンドを着用したまま生活します。1週間後の抜糸までは、できる限りバストバンドを着用しましょう。
抜糸後はバストバンドを装着する必要はありませんが、ワイヤー入りのブラジャーではなくブラトップなどを着用してください。ワイヤーの圧力でシリコンバッグが入れた位置からずれてしまう可能性があります。術後約1ヶ月経つと、ワイヤー入りのブラジャーが着用可能です。
シリコンバッグ挿入術の費用
シリコンバッグ挿入術の費用の目安は、500,000〜1200,000円です。
使用するシリコンバッグの種類やサイズ、挿入方法、麻酔方法などで大きく変わります。人それぞれ適した豊胸術は異なるため、費用だけで決めないことが重要です。
韓国でのシリコンバッグ挿入術を受けるときの注意点
韓国でも豊胸のためのシリコンバッグ挿入術を受けることが可能です。日本と比べると安い費用でバストアップができます。
しかし、帰国後にトラブルが起きた際に、まれに再受診が必要になることがあります。その場合は、渡航費や宿泊費など、結果的にトータルの金額が高くなるリスクがあります。
また、通訳がいても言語のニュアンスの違いでうまく伝わらず、理想のデザインにならないこともあります。信頼できる病院や医師を入念に探し、カウンセリング時にはアフターケアについても確認しておきましょう。
まとめ
シリコンバッグ挿入術では、胸を2カップ以上大きくすることが可能です。1日で目に見えて大きくできるため魅力的な手術ではあるものの、リスクも伴います。
手術を受けるときは、執刀医とよくデザインや大きさについて話し合い、トラブルが起きた場合にどのような対応を受けられるかについても確認してから決めましょう。